還暦ひとり旅 シベリア鉄道+ヨーロッパ日記

還暦記念?に北京からモスクワ、ヘルシンキ、ドイツ、イタリア、と鉄道の旅に行ってきました

上海から北京へ(3月23日)

 
 
上海から北京に行く新幹線の切符はインターネットで購入しておいたので、予約番号をプリントしたものとパスポートを持って窓口で切符を発券してもらえばよいのですが、認証に時間がかかるので必ず2時間前には駅に着くようにと注意書きがありました。余裕があるように10時半発にしたのですが、8時半に行かなくてはなりません。
 
タクシーを呼んでもらって駅に行って、荷物検査を通って中にはいると、いくつもある窓口に長蛇の列ができています。並んだものの、本当にこの窓口でよいのだろうか、という不安もよぎらないでもありません。混んではいますが、皆ちゃんと並んでいます。「どうしても○時の列車に乗らないといけないの。お願い、お願い、入れて。」みたいなことを言って(たぶん)割り込ませてもらっている若い女性もふたりぐらい見かけましたが…3人目ぐらいで入れてもらってました。
 
発券は意外とはかどって1時間待ち時間ができてしまいました。大きな待合室には衣類などのお店があり、吹き抜けの2階にはコーヒーショップとケンタッキーがありました。
 
20年前に聞いた話では、中国にサービス精神などいうものはないということでしたが、時代も変わり、海外旅行に行く人も増え、豊かになって余裕ができてだいぶ様変わりしたようで、愛想もいいし、ゴミも落ちていません。テレビでは公共広告機構みたいなコマーシャルが「痰を吐いてはいけません」と言っていました。
 
北京までの5時間半、車窓から見えるのは田園風景、団地、山も少しありますがほとんどが平地でトンネルも短いのが3つぐらい。昔ながらの農村の向こうに高層ビルがニョキニョキ建っているところも何度も見ました。マンションは租界時代の建物の影響か、けっこうおしゃれなデザインのが多いです。
 
車両の後部にスーツケースを置けるスペースがあって、皆そこに置いていたので、私も置きました。乗り心地も悪くありません。
 
そんなに変化に富んだ景色でもないのでkindleを取り出して三国志を読み始めたら、お隣の席の若い男性が興味津々といった様子で話しかけてきました。中国語ができないと英語と見ぶりで言ったのですが、きっと新らしもの好きで見慣れないものを持っているので何なのか知りたくなってのではないかしら。駅の待合室でも読んでいたら話しかけられました。
 
北京では万国共通の西洋式のホテルではなくて中国らしい所に泊まりたいと思い、ホテルの予約サイトで見つけた胡同(フートン)のホテルを予約してありました。胡同というのは、旧市街の伝統的な民家が並んでいる路地や横町のようなところで、その伝統的な四合院と呼ばれる中庭のある建物を改装したホテルに泊まるのを楽しみにしていました。
 
北京に着いて、荷物が大きいので、タクシーに乗って印刷しておいたホテルの予約確認書を見せました。一方向が5車線だかある広い道路を車が追い越そうとしてあっちに行ったりこっちに行ったりしながら走っています。その合間を荷物をたくさん積んだ自転車が走っていたりします。よくぶつからないものです。中国の人は機敏なのでしょうか。
 
日本語が少しできる運転手さんに「ここだよ」と言われて大通りで降ろされてしまいました。胡同にはタクシーは入れないのです。
 
胡同の入り口です。
 

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しかたなくスーツケースをゴロゴロ引きずって印刷しておいた地図を頼りに目的地を探しながら歩き始めました。小さいお店があって、人が話をしていたり、歩いたり、物売りがいたりで、下町っぽい雰囲気で初めてなのにどこか懐かしい、ちょっと昭和の日本を思わせる場所です。
それにしても、なかなかホテルとおぼしき所がありません。地元の人らしいおじいさんに住所を見せて聞きましたが、知らないと言われ、ことばもわからない所で無事たどりつけるのか不安になりましたが、やっとわかる人がいて、チェックインできました。
 
といってもスムーズにはいかなくて、京都の路地みたいに入り口をくぐると何軒かある構造なので違う家に入りそうになってしまいました。ちょうどその家の前にいた子どもに不審者だと思われ、お母さんが笑いながらあちら、と教えてくれました。
 
ホテル(北京未名精品酒店・未名四合院酒店)の入り口です。奥に見えるのが、ホテル予約のサイトに書いてあった清朝の壁でしょうか?
 

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期待した通り、昔ながらの中国の雰囲気がたっぷりです。
 
シャワーとトイレ共同の安い部屋を予約したのですが、値段は同じでグレードアップしておきました、ということでした。
なかなかおしゃれなインテリアで、電気ポットとティーバッグが置いてあります。
 
晩ご飯は同じ胡同にある英語も書いてある餃子(ダンプリング)のお店に入りました。揚げ餃子にしてみました。やはりボリュームがあって、ひとりだといろいろな種類が食べられないのが残念。おいしかったけど。
 
胡同も再開発によって減ってしまったそうです。もっと知りたいかたは下記の本を。私は出発前に買って最初の方しか読む時間がなくて、帰ってから続きを読んでいます。著者は中国語で不自由なくコミュニケーションできるようで、胡同に暮らして惚れ込み、胡同育ちの中国人と結婚し、胡同の建物と同時に人と人のつながりや文化が壊されていくことに危機感と哀惜の念を持ってこの本を書いています。
 

老北京の胡同: 開発と喪失、ささやかな抵抗の記録